株式市場に当局介入 3

「政府は、われわれがやっているのは社会主義の株だと言う。


社会主義の株っていったい何なんだ。


儲からない株のことかい。


俺たちは社会主義でも資本主義でもどちらでもいいんだ。


自由に株をやりたいだけなんだ」。


・・・今回の取材の中でこれだけ激しく政府を批判する市民の姿を見たのは、この日が最初で最後でした。


テレビカメラの前で政府批判をすることは中国では危険なことです。


・・・にもかかわらず、こうした発言が飛び出したのはよほど腹に据えかねていたに違いないでしょう。


香港の雑誌『90年代』の李編集長は、現在の上海の状況を次のように分析しています。


「もともと上海の浦東開発計画は北京の保守派、つまり計画経済派が考え出したプロジェクトです。


上海に計画経済を中心とする一大経済圏をつくり上げ、市場経済で動きはじめている広東省の力を抑えようという狙いがあったんです。


ですから株式市場についても、市場原理に任せることは最初から考えていなかったのです」。

株式市場に当局介入 2

「私は証券取引所ができる前に、上場前の安い株をさんざん買っていたんだ。


それをいま売って儲けているのさ。証券取引所ができてから買った株では儲けていないんだ。


だって儲かるわけがないだろ?0・5パーセントの制限があるんだから」


記者らは店頭で一般市民の反応を聞いてみました。


カメラの手前、最初は皆黙っていなすたが、そのうち1人の男が吐き捨てるようにこう言いました。


「共産党がやりそうなことさ。こんな株にはもう愛想が尽きたよ」。


・・・この男の言葉をきっかけに堰を切ったように不満が爆発しました。


「人をだましているよ。


われわれは浦東開発に賛成しているからこそ、こうして身銭を切って株をやっているんだ。


なのに政府はうまいこと言って金を吸い上げるだけ吸い上げておいて、われわれに儲けさせてくれないんだ」


「計画経済が大切だって政府は繰り返し言っているが、株の世界にまで計画経済を持ち込むのはあんまりだよ」。

株式市場に当局介入

記者らはその真相を詳しく知るために、ある証券会社の社長を訪ねました。


「証券取引所の所長や中国人民銀行の袋そしてわれわれ証券会社の珪で組織した理事会があるんですが、その理事会で株の値動きに制限を設けたんです」


・・・社長はあっさり楊百万の話が事実であることを認めました。


株の人気が予想以上で株価が高騰し続けたため、それを抑えるためにとった措置だといいます。


「いまはまだ株式市場が未成熟で、投資家の株に対する認識や技術もばらばらの状態だ。


だからいまの段階では、5パーセントで市場を安定させるのは良い方法だと思っています」。


5パーセントの制限が設けられて以来、上海の株はじりじりと下落しはじめました。


さすがの楊百万もいまは買いを手控えています。

冷戦後の中国 5

「株価が1日にいくら上がり下がりしたかをよく見てごらん」。


証券取引所がオープンしたのは90年12月19日、株価は最初高騰していますが、年末から1月にかけては上げ幅が小さくなっています。


しかし、それ以外には何も際立った特徴はないように見受けられます。


ポカンとしている私たちに、楊百万は笑いながら種明かをしてくれました。


「上げ幅が毎日同じなのさ。


12月27日から毎日1パーセントずつ上がっているでしょう。


そして1月4日からは、今度は毎日ちょうど0・5パーセントずつだ」。


記者らは電卓を使ってもう一度株の値動きを計算してみました。


たしかに楊百万の言うとおり株価は毎日規則正しく上がっています。


1月17日から下落を始めますが、これも決まって毎日0・5パーセントずつ下がっています。


本来は市場の原理で動く株式市場に政府が介入し、1日の上がり下がりに制限を設けたのだと楊百万は説明をしてくれました。


冷戦後の中国 4

「上海政府がマスコミに命令したんだよ。


楊百万の記事を載せるようにって」。


あるマスコミ関係者が日本人記者らにこう教えてくれました。


市民に一獲千金の夢を見せ、株に出資させるのが狙いだとい需楊百万はいわばとして使われているという"人寄せパンタ"のです。


記者らは楊百万の事務所を訪ねました。


事務所は下町の路地裏にあります。


日当たりの悪い6畳ほどの部屋にはソフトとパソコンが置かれています。


「政府が俺を利用してるって?ふん、それは初耳だね」。


楊百万は煙草をくわえ、しばらく考え込んだ後、立ち上がりました。


「面白いものを見せてあげるよ」。


彼はそう言ってパソコンを叩きはじめました。


彼のパソコンには証券取引所開設以来の株の値動きがすべてインプットされています。


彼はその一覧を印刷して差し出しました。

マスコミ

マスメディアを通じて行われる情報伝達をいい、社会の都市化、工業化を背景とし、大衆社会に対応して顕著な発展を遂げた。

個人間の情報伝達としてのパーソナル・コミュニケーションと対比され、空間的に拡散した不特定多数の大衆を同時的な受け手とする。

マス・コミュニケーションの概念は、一九四〇年前後からアメリカでナチズムの政治宣伝や心理戦争の研究が進められる過程で生み出され、1945年に採択されたユネスコ憲章のなかで使われて以来、広く各国に普及した。

高度の技術文明に支えられて巨大社会が発達し、マス・デモクラシーが成立している現代においては、拡大していく社会環境に適応するために、人びとはマス・コミによって直接に経験しえない世界についての情報を得る必要がある。石塚孝一氏によると、マス・コミを抜きにして現代の社会生活を考えることはできない。

しかし同時に、マス・メディアの寡占化ないし独占化によって、社会のエリートによる大衆操作の可能性がますます増大するという危険性もつねに潜在している。

冷戦後の中国 3

活気づく証券会社の店頭で、記者らは一人の有名な個人投資家に出会いました。


楊さん、41歳。


人は彼を100万元稼いだ男"楊百万"と呼びます。


楊百万は、もともと国営の製鉄工場で働いていました。


彼はこつこつ貯めた貯金を元手に株を始め、またたく間に財を成したのです。


楊百万は眼鏡を掛けた小太りな男です。


髪の毛は寝癖で立ったまま、とてもやり手の投資家には見えません。


しかし、その彼が姿を現すとたちまち大勢の人だかりができます。


彼から何か良い情報を聞き出そうと投資家たちが集まってくるのです。


この日、楊百万は売りに回りました。


「どのくらい売ったんですか?」


「224株だよ」


「いくら儲かりましたか?」


「買ったときが90元でいまは383元に上がっているから、トータルで3万元くらい儲かったよ」。


彼はそう言ってニヤリと笑い、煙草に火をつけました。


90年から91年にかけて、上海のマスコミはこぞって楊百万の話題を取り上げました。


新聞や週刊誌は彼の芳しい儲けぶりを紹介し、株取引の魅力をアピールし続けました。

冷戦後の中国 2

現在、証券取引所に上場しているのはデパート、電気メーカー、化粧品会社など8銘柄、個人投資家たちはその値動きに目を光らせています。


手持ちの株を売り、現金を手にしたばかりの中年の男がいました。


「いくら儲かったんですか?」


「そうねえ、2000元くらいかな」。


男は得意げに答えました。


彼は国営の製粉工場に勤めていますが、この日はわざわざ休暇をとって株を売りにきたといいます。


「2000元って給料の何か月分ですか?」


「10か月分かな。これで子供にラジカセを買ってやるんだ」。


彼はそう言って現金を大切そうに懐にしまい込み店を出ていきました。


店の隅では老人たちが株の情報を交換していました。


国民党時代の株仲間だといいます。

冷戦後の中国

葉氏は、中国人民政治協商会議の副主席に任命され、広東省を離れることになりました。


一見昇格に見えるこの人事を、香港のマスコミの多くは実質的な降格だと報道しました。


日本人記者らは中国大陸取材後、香港のジャーナリズムを代表する雑誌『90年代』を訪ね、李編集長にその根拠を聞きました。


李編集長は中道的な立場から中国分析をするチャイナウオッチャーとして評判が高い人です。


「中国人民政治協商会議の副主席というポストは名誉職で、あまり実権を持っていないんですよ」。


取材の目的はその実態をカメラに収めることでした。


朝9時、営業開始30分前だというのに証券会社の前はすでに黒山の人だかりです。


上海には証券会社が4社あますが、どこもこんな賑わいだといいます。


開店時間になりシャッターが上がりはじめると、皆われ先にと争って店の中に駆け込んでいきます。


店内には株価を表示する大きな電光掲示板が設けられています。

専門な知識がいる職・・・ITビジネス3

ITベンチャー企業への就職を望むならば、コンピュータ系の課程がある専門学校や大学へ進学して、何か1つ専門の知識と技術をしっかりと身に付けておく必要がある。
IT関連会社は学歴よりも専門知識や技術を高く評価するため、その専門知識や技術が秀でていればいるほど採用される可能性が高くなる。

一方、自らの起業を目指す場合は、一度IT関連企業へ就職して実務経験を積んでから独立起業するケースと、いきなり起業するケースがある。

後者の場合、ITに関する専門的な技術を身に付けておいたほうが有利だが、それがなくても、幅広い知識とそこからビジネスを生み出す発想力と行動力だけで起業する人が多い。
その理由は、技術に関しては優秀なスタッフを雇うことができるからである。

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